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【 第74回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】 「健康診断にまつわる疑問」
定期健康診断(以下、「健康診断」という)を秋に実施している企業も多いと思いますが、健康診断の費用や受診した時間の取扱い、健康診断の受診後に有所見となった場合の取扱いなどについて、会社が適切に対応ができていないケースもあります。
そこで今回は、健康診断にまつわる疑問についてとり上げます。
実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!
今年も健康診断の実施時期が近づいてきましたが、今年からパートタイマーの従業員を雇うことになり、健康診断を受けてもらうべきなのか迷っています。
企業における健康診断の実施対象者はどのような方が該当するのでしょうか?
健康診断は、労働安全衛生法および労働安全衛生規則において、1年以内ごとに1回(深夜業に従事する労働者等は6ヶ月ごとに1回)、定期に実施しなければならないとされています。
この健康診断の実施対象者は、常時使用する労働者であり、正社員だけではなく、パートタイマーやアルバイトであっても、以下の要件のいずれにも該当する場合には実施することになっています。
・無期契約の労働者や契約期間が1年以上である労働者
・有期契約で契約の更新により1年以上使用することが予定される労働者
・契約更新をして既に1年以上引き続き使用している労働者
・1週間の労働時間数が、その事業場の通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上である労働者
そうなんですね。
弊社の正社員の所定労働時間は週40時間で、パートタイマーの従業員は30時間以上働いていて無期契約となりますので、健康診断を受けてもらうようにしたいと思います。
ところで、健康診断にかかる費用について改めて教えていただけますか?
はい。
健康診断を受診するときの費用については、健康診断の実施が会社に義務付けられていることから、会社が負担すべきものとされています。
なお、健康診断の受診後に有所見になった後の再検査等の費用は、会社の義務とはなっていないため、あらかじめ労使で決めることになります。
なるほど。
再検査の場合の費用については義務付けられてはいないのですね。
今年は、健康診断を勤務時間内でも受けられるようにしたいと考えています。
その場合、給与の支払いについてはどのように考えればよいのでしょうか。
健康診断は、一般的な健康確保を目的として事業者に実施義務を課したものなので、受診のための時間についての賃金は労使間の協議によって定めるべきものになります。
ただし、円滑な受診を考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことを検討しても良いでしょう。
わかりました。
ところで、健康診断の中で、異常所見などが見つかった場合はどのような対応をすればよいのでしょうか。
健康診断を受診した後には、医師等により異常がないか、異常の所見がある(有所見)かが判断され、有所見のときには、医師等から就業に関する意見を聴取することになります。
そして、この医師等の意見を勘案し、会社がその必要があると認めるときは、その労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じたり、医師等の意見を衛生委員会等へ報告したりするなどの対応が求められます。
そうなんですね。
もし、異常所見があった場合は、従業員のためにも適切な対応をしていきたいと思います。
そうですね。
健康診断の結果を労働者に通知するのみというケースも見られますが、健康に働き続けるためには結果に応じた対応が求められます。
また、労働基準監督署の調査では、有所見とされた後の医師等からの意見聴取を行っていないとして、是正勧告が行われた事例があります。
いま一度、健康診断全体の流れを厚生労働省のサイト等で確認しておきましょう。
しっかりと確認しておきたいと思います。
ありがとうございました😊
POINT
①健康診断の実施対象者は、常時使用する労働者であり、正社員だけではなくパートタイマーやアルバイトであっても、要件に該当する場合には実施する。
②健康診断を受診するときの費用は、会社が負担すべきものとされている。有所見になった後の再検査等の費用は、あらかじめ労使で決めておく。
③有所見者への対応として、その労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じたり、医師等の意見を衛生委員会等への報告などが求められる。