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【 第73回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】 「出張中の労災保険」
新型コロナウイルス感染症が5類相当に移行したことで、以前のように社外での対面による商談等も増えてきています。
今回は、社外でのケガや病気をした場合の労災保険の取扱いについて確認してみましょう!
実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!
従業員から通勤中にケガをしてしまったとの連絡がありました。
幸いケガは大したことがないようで安心しました。
通勤時のケガは初めてですが、「通勤中」と「業務中」のケガでどのような違いがありますか?
従業員の通勤中と業務中のケガや病気は、原則として労災保険から被災した従業員やその遺族に対し、必要な保険給付が行われます。
通勤中に被災したときは「通勤災害」、仕事中に被災したときには「業務災害」として分けて扱われます。
両者の給付内容に大きな違いはありませんが、業務災害の一部には労働基準法における解雇制限が設けられています。
解雇制限が大きな違いなんですね!
そういえば、新型コロナの影響で減っていた出張が今後は増えてきそうです。
出張中のケガや病気はどのようになるのでしょうか?
社外で業務をしているときにケガや病気になったときには、原則として業務災害として取り扱われます。
なお、出張中に「積極的な私的行為を行う」といった特段の事情がある場合には、そもそも労災保険の給付の対象として扱われません。
では、出張中に会社からの指示に基づいて、自宅から目的地に直接向かう場合(直行)や直接帰宅する場合(直帰)のケガは、通勤災害に該当しますか?
直行・直帰の際の出来事は、どこを業務の開始や終了として扱うか分かりづらいですよね。
これについては、自宅を出発したときから自宅に帰るまでの全体を業務としてとらえ、その期間のケガや病気は原則として業務災害として扱います。
通勤災害ではなく、業務災害になるんですね。
先ほど出てきてた「積極的な私的行為」とは具体的にどのようなものでしょうか?
例えば、業務とは関係のない友人を訪ねての歓談や、帰宅途中に業務とは無関係な飲食を長時間するなどです。
これらの私的行為があるようなときは、その私的行為中と私的行為後のケガや病気は労災保険の給付の対象となりません。
業務外で泥酔して階段で転んでしまった場合は、給付の対象とならない可能性が高いんですね。
それらは対象外でも仕方がないですね…
よく勘違いされるのが、出張先のホテルのお風呂で滑って転倒したケースです。
この場合は、業務時間外の事故のため労災ではないと思われるかもしれません。
しかし、宿泊などは出張に伴う行為として業務遂行性が認められているため、労災とみなされる可能性が高いでしょう。
それは知りませんでした!
他に労災保険で、何か気を付けた方が良いことはありますか?
本来、労災保険から給付を受けるべきところを、医療機関で健康保険証を提示し診療を受けてしまうこともあります。
特に出張中は、医療機関でも仕事中の被災なのかを把握しづらいため、従業員にどのような場合に労災保険の給付の対象になるのか、あらかじめ周知することで誤った対応をしないようにしておくとよいでしょう。
そうですね✨
今後に備えて、今回教わったことを従業員へ周知しようと思います。
ありがとうございました😄
POINT
①仕事中に被災したときには「業務災害」、通勤中に被災したときは「通勤災害」として分けられ、業務災害の一部には労働基準法における解雇制限が設けられている。
②出張中のケガや病気は、原則として業務災害として取り扱われる。
③出張先への直行・直帰の際の事故も、通勤災害ではなく業務災害として扱われる。
以前のブログでも労災保険に関して説明しています。是非ご覧ください!
【 第45回 】 「労災の休業補償 最初の3日間の取扱い」
【 第53回 】 「労災事故・通勤災害」
【 第56回 】 「労災事故・通勤災害の寄り道」