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【 第72回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】 「‟地域別最低賃金”と‟特定最低賃金”」
令和4年度は全ての都道府県で30円以上最低賃金が引き上げられました。
令和5年度、目安では全国平均で41円となっていましたが、多くの県で目安より高い答申が行われたことで、引き上げ額平均は43円、全国加重平均で1,004円となりました。
第36回「最低賃金を確認する際の注意点」では、最低賃金を下回らないかの確認方法について説明しました。
今回はその他のよくある質問についてのお話です。
実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!
今年度の最低賃金が全国平均で41円の引き上げとなりました。
以前に当社の社員の賃金が最低賃金を下回っていないか確認方法を教えていただきましたので、今年度も確認したいと思います。
そうですね、ぜひ確認をしてください。
今年度は過去最大の引き上げによる最低賃金割れの対策以外に、既存の従業員との賃金差が縮小してしまったり、求人上の競争力が低下することへの対応として、賃金引き上げを検討する企業が多いようです。
ところで、最低賃金には‟産業別の最低賃金”もありますよね?
最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。
「特定(産業別)最低賃金」は「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されており、全国で226件の最低賃金が定められています(令和5年3月31日時点現在)。
「特定(産業別)最低賃金」は都道府県によって様々な産業が設定されているのですね。
知りませんでした😳
「特定(産業別)最低賃金」は、特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されますが、
①18歳未満又は65歳以上の方
②雇入れ後一定期間未満の技能習得中の方
③その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方
などには適用されません。
一方、「地域別最低賃金」は、パートタイマー・アルバイト・嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。
そうなると「地域別最低賃金」を下回ることはないのですね。
「地域別最低賃金」は、雇用形態や呼称に関係なく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されますので、原則として最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。
しかし、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあります。
以下の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件に個別に最低賃金の減額の特例が認められています。
①精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
②試の使用期間中の方
③基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
④軽易な業務に従事する方
⑤断続的労働に従事する方
わかりました。
それでは、他県の派遣会社から派遣されている社員はどうなりますか?
派遣労働者には派遣元の事業場の所在地にかかわらず、派遣先の最低賃金が適用されます。
派遣会社の使用者は、派遣労働者に対し、派遣先の事業場に適用される最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
派遣会社の社員にも当社と同じ最低賃金が適用されるのですね✨
ありがとうございました😄
POINT
①最低賃金には、「地域別最低賃金」と、「特定(産業別)最低賃金」の2種類がある
②「地域別最低賃金」は、雇用形態や呼称に関係なく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用され、原則として最低賃金額以上の賃金を支払う必要がある
③派遣労働者には派遣元の事業場の所在地にかかわらず、派遣先の最低賃金が適用される
<参考サイト>厚生労働省 「必ずチェック 最低賃金」