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【 第25回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】 「減給処分を行う際の注意点」
従業員の規律違反やミスにより損害が発生した際には、減給という懲戒処分をすることがあります。
減給処分は法律上は認められていますが、減給の金額には制限があります。
労働基準法第91条に規定されている「減給の限度額」を確認してみましょう!
実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!
先日、従業員が会社のUSBが入ったカバンを電車の中に置き忘れ、紛失しました。
会社の機密情報や個人情報等は含まれていませんでしたが、会社としては就業規則に従い、懲戒として減給の処分にすることを検討しています。
情報の流出がなかったことは不幸中の幸いでしたね。
減給の処分については、本人の弁明を聞いた上で、過去に同様の事案があった際の取扱い等とも比較して、処分内容が相当かを確認してください。
承知しました。
減給の範囲として、確か『平均賃金の1日分の半額、総額が一賃金支払期における10分の1を超えることができない』という定めがあったと思います。
この平均賃金の計算は、どの時点で計算すればよいのでしょうか?
平均賃金は、原則として事由の発生した日以前3ヶ月の間に、その従業員に支払われた賃金の総額を、その期間の”総日数”で除した金額になります。
今回の算定事由が発生した日とは、会社が減給処分を従業員に伝えた日(減給の意思が従業員に到達した日)になります。
なるほど。
事由が発生した日を『USBを紛失した日だと勘違い』していました😔
平均賃金の計算の際、実務的には直前の賃金締切日から起算して3ヶ月の期間を用います。
基準とする日が異なることで、金額に誤りが発生するので注意が必要です。
ちなみに、1つの事案に対して数ヶ月にわたって減給処分をしたいという話を聞きますが、減給は「総額が一賃金支払期の総額の10分の1を超えることができない」となっていることもあり、労働基準法上はこのような対応はできません。
そうなんですね。
平均賃金の1日分の半額の金額は想像していたよりも低く、2ヶ月程度を対象にしたいと思っていました。
これはできないということですね。
また、給与(月給)ではなく賞与から減給を行うことは可能でしょうか?
賞与で減給を行うこともできます。
その際、『減給を賞与で行うことが、就業規則に明記されていること』、『減給の金額も1回の額が平均賃金の1日分の半額、賞与総額の10分の1を超えることができないこと』の2点に注意してください。
賞与から減給するケースは、ほとんどありませんが…
わかりました。
減給の処分をする際には気を付けます。
また、同じような案件がおこらないように再発防止に努めたいと思います。
ありがとうございました!
POINT
①平均賃金の算定事由が発生した日とは、減給の意思が該当する従業員に到達した日をいう
②減給の処分は、1事案について複数月にわたって行うことはできず、1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1の範囲内となる
③遅刻・早退など実際に働いていない時間分を ”遅早控除” するのは ”ノーワークノーペイの原則” で減給にはあたらない → 遅早控除以上に減額することはできない!