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【 第104回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】「時間単位の年次有給休暇を導入する際の手続きと注意点」

人材の確保と定着率を上げたい企業では、従業員が働きやすいように様々な工夫や制度の導入に取り組んでいると思います。
今回はその中でも、導入する企業が増えている『時間単位の年次有給休暇(以下、「時間単位年休」という)』について、導入する際の手続きや注意点を確認していきましょう。


実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

時間単位年休のことで質問があります。
従業員から「時間単位年休を導入してほしい」という要望が強く、2025年4月からの導入を検討しています。
導入する際の手続きや注意点を教えてください📖✏️

わかりました。
時間単位年休を導入する場合は、就業規則への記載と、労使協定の締結が必要です。
労使協定では、以下の事項を定める必要があります。

①時間単位年休の対象者の範囲
②時間単位年休の日数
③時間単位年休1日分の時間数
④1時間以外の時間を単位として与える場合の時間数

まず、「①時間単位年休の対象者の範囲」については、時間単位年休を取得できる対象者を定めます。

当社の場合、工場勤務者は交替制のため、対象外とすることも可能ですか?
1日単位での取得の場合、人員を調整して対応することはできますが、時間単位となると調整が難しいことがあるため、対象外にできるのであれば検討したいです。

労使協定で交替制の工場勤務者を対象外とすることは可能です。
ただし、社内で不公平感が生まれやすくなりますので、その説明は丁寧に行う必要がありそうですね。
次に②時間単位年休の日数」については、法令で1年について5日以内の範囲と決められています。
一般的には5日とする例が多いですが、上限を2日や3日とすることも可能です。

そうなのですね。

③時間単位年休1日分の時間数」については、1日分の年次有給休暇(以下、「年休」)が何時間分の時間単位年休に相当するかを定めます。
1時間に満たない端数がある場合は時間単位に切り上げることになり、例えば、所定労働時間が6時間30分の人は、1日分の年休に相当する時間は「7時間」になります。

ということは、もし1年のうち5日取得できるとした場合、この所定労働時間が6時間30分の人は、時間単位では35時間分(所定労働時間を切り上げた7時間×5日)取得できることになるのでしょうか?

そのとおりです。
所定労働時間6.5時間×5日と計算するのではありません。
そして最後の「④ 1時間以外の時間を単位として与える場合の時間数」については、多くの場合、1時間単位の取得としていますが、2時間単位とすることも可能です。

なるほど🤔
1年について5日、時間は1時間単位になると思っていましたが、ここは労使協定によって変更できるのですね。

時間単位年休の運用に関して、特に注意して欲しいポイントを2点お伝えします。
1点目は、年休が10日以上付与された労働者について年5日の年休を取得させることが義務となっていますが、この取得の5日に、時間単位年休を含めることはできないことです

時間単位年休とは別に5日の年休を取得する必要があるのですね。

2点目は、次年度の年休を付与する際の繰り越しについてです。
時間単位年休を導入すると、繰り越し時期に、時間の端数が出ることが考えられます。
例えば残日数が7日と3時間となった場合、次の付与を行った際、7日と3時間をそのまま繰り越すか、3時間を1日に繰り上げて、「8日」とし、繰り越すことが必要です。

3時間を切り捨てることはできないということですね。

はい。従業員の方にとって有利な取り扱いをすることは可能ですが、切り捨てるといった不利な取り扱いはできません。
また、7日と3時間を繰り越し、例えば次の基準日に11日を付与した場合、18日と3時間になりますが、時間単位で取得できる範囲は1年において5日とした場合、35時間(所定労働時間7時間×5日)が限度となります。

なるほど❗
38時間(所定労働時間7時間×5日+3時間)にはならないということですね。

そのとおりです😊
今回の内容を踏まえて検討いただいて、また状況を教えてください。

わかりました✨ありがとうございました😄


POINT