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【 第96回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】「賃金が最低賃金以上かを確認する方法」

最低賃金について、政府の方針として「2030年代半ばまでに1,500円となることを目指す」と示されていましたが、今年度は全都道府県で50円以上という過去最大の引上げとなりました。
これに伴い社員に支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうか確認する必要があります。

 


実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

全都道府県で地域別最低賃金額が出揃い、各都道府県において50円から84円の引上げが行われることとなりましたね。

50円の引上げには驚きました😮

この引上げ額となると当社の新入社員が最低賃金を下回るのではないかと気になります。
今日はその確認方法を教えてください。

わかりました。

まず最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金とされています。

すべての手当を含めることはできず、実際に支払われる賃金から以下の①~⑥の賃金を除外したものが、最低賃金の対象となる賃金になります。

 

①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
②1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
④所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
⑥精皆勤手当、通勤手当および家族手当

⑥の通勤手当はなんとなくイメージがつきますが、精皆勤手当や家族手当も対象にならないのですね。

そうですね。

とくに精皆勤手当は、割増賃金の算定基礎には含めることになっているので勘違いしないように注意が必要です。
 

次に最低賃金を下回っていないかの確認方法ですが、月給者は最低賃金の対象となる賃金の合計額を1か月の平均所定労働時間で割り、最低賃金額と比較します。

この1か月の平均所定労働時間とはどのように計算するのですか?

1か月の平均所定労働時間は「1年間の所定労働時間÷12か月」で計算します。

例えば1日8時間、年間の所定労働日数240日の場合、1か月の平均所定労働時間は「8時間×240日÷12か月=160時間」となります。

わかりました。
パートさんの中に、基本給は時間給、役職手当(リーダー手当)は月給で支払っている人がいます。

この場合はどのように計算すればいいですか?

役職手当を時間額に換算し、それと時間給である基本給を合計した金額と最低賃金額を比較します。
例えば基本給(時間給)1,000円、役職手当(月給)8,000円、1か月平均所定労働時間が160時間の場合、
 役職手当の時間換算額 8,000円÷160時間=50円
 合計の時間換算額   基本給1,000円+役職手当の時間換算額50円=1,050円
この1,050円が最低賃金額を下回っていないかを確認します。

該当するパートさんについて、一度計算してみます🖋️
 

ところで当社の賃金計算期間は毎月16日から翌月15日です。

最低賃金がいつから変更になるかという発効日が静岡県では10月1日ですが、賃金計算期間の途中になります。この場合は来月(10月16日)から賃金を引き上げればいいですか?

賃金算定期間の途中に発効日がある場合には、発効日以降、改定後の最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。

そのため発効日が10月1日の場合、少なくとも10月1日以降の労働に対する賃金について変更が必要です。

そうなると時間給で支払っているパートさんの10月分(9月16日~10月15日分)は、前半と後半に分けて勤怠を集計して計算することになりますね。

確かに10月1日に発効される最低賃金を下回っている場合はそのように計算することになります。

ただその計算は非常に煩雑になると思いますので、手間の軽減やミスの防止を考えると、9月16日から最低賃金以上の金額に引き上げておくことも考えられます。

実務を考えるとその方がよさそうですね。

今回は例年以上に大きな最低賃金の引き上げとなりますので、最低賃金を下回る人がいないか確実に確認をお願いします。
確認の際、不明な点があればまたご連絡ください。

わかりました❗

ありがとうございます✨


POINT