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【 第84回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】「退職後の健康保険の選択肢」

退職する従業員から、『退職後の健康保険について教えてほしい』という相談を受けることがあると思います。
退職してすぐに通院の予定がある場合など、健康保険証が手元にない期間があると困ることもあります。
今回は、退職後に再就職しない場合の健康保険についてのお話です。

 


実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

今月末で退職する従業員がいるのですが、その従業員から『退職後に加入する健康保険について教えてほしい』と言われました。
来週説明することになっているので、退職後の健康保険について教えてください。

わかりました。
退職後の健康保険ですが、大きく分けて以下の3つの選択肢があります。
 

①国民健康保険に加入する
②健康保険の任意継続をする
③家族の健康保険に加入する(被扶養者となる)

 
退職する従業員やその家族の状況によって加入できる制度が異なります。
また、加入する制度によって負担する保険料の額に違いがあります。

なるほど!
家族の状況も関係してくるのですね😀

まずは、①国民健康保険から説明しましょう。
国民健康保険は市区町村が保険者となり、他の医療保険制度に加入しない人が加入する制度です。
保険料は、加入する世帯の人数や前年の所得などによって決まります。 
退職する従業員の居住地の市区町村によって保険料の算定方法が異なるため、会社として一概に保険料額を示すことはできません。

以前、『国民健康保険の保険料がいくらになるのか?』と質問されたことがありましたが、その際も退職する従業員の居住地の市区町村に相談するようアドバイスしました。

そうなりますね。
次に②健康保険の任意継続というのは、在職中に加入していた健康保険に任意継続被保険者として引き続き加入する制度です。
任意継続被保険者となるためには、退職日(資格喪失日の前日)までに被保険者期間が継続して2ヶ月以上あることが必要です。
そして退職する従業員の住所地の協会けんぽ都道府県支部、または加入していた健康保険組合に、退職日の翌日から20日以内に『健康保険任意継続被保険者資格取得申出書』を提出する必要があります。

”退職日の翌日から20日以内”という期限があることを従業員にしっかり伝えることが重要ですね。

そうですね。
また、任意継続した場合に負担する健康保険料は、在職時に従業員が負担していた健康保険料の2倍の額になります。
ただし上限額が設けられており、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、30万円の標準報酬月額により算出した保険料になります(2024年3月時点)。

在職中は、会社と従業員が健康保険料を折半しますが、任意継続の場合は会社負担がなくなるため、保険料が2倍になるのですね。
退職する従業員に被扶養者がいた場合は、任意継続被保険者の被扶養者として加入することができるのでしょうか?

はい。
被扶養者であった家族も任意継続の認定を受けることで、任意継続被保険者の被扶養者として加入できます。
ちなみに在職中と同様に被扶養者分の健康保険料はかかりません

 
最後に③家族の健康保険に加入するというのは、家族が勤務先で社会保険に加入していて、その家族の被扶養者としての認定要件を満たしたときに加入できる制度です。
被扶養者のため、家族が負担する健康保険料は増えず、また退職者本人の保険料負担もありません。

退職する従業員やその家族の状況によって、選択肢は変わってくるのですね!
また分からないことが出てきたら、教えてください✨
ありがとうございました😊


POINT

①退職後の健康保険は、「国民健康保険に加入する」「健康保険の任意継続をする」「家族の健康保険に加入する(被扶養者となる)」の3つの選択肢がある。
➁国民健康保険は、市区町村が保険者となり、保険料は世帯の人数や前年の所得・居住地の市町村によって決まる。
③健康保険の任意継続の保険料は、在職時に従業員が負担していた健康保険料の2倍の額(上限有り)になる。
④家族の健康保険に加入するには、家族の被扶養者としての認定要件を満たす必要がある。


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