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【 第83回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】「年次有給休暇 出勤率8割要件の注意点とは?」

年次有給休暇(以下、「年休」という)には、付与の要件として、入社後6か月以上継続勤務し、その期間の出勤率が全労働日の8割以上であることがあげられます。
今回は、その出勤率についての基本的な計算方法と、育児休業や特別休暇の取得など、様々なケースにおいて計算を行う際の注意点について確認していきましょう!

 


実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

当社では全従業員について、4月1日に一斉に年休の付与を行っています。
従業員の中には育児休業や特別休暇を取得したり、様々なケースがあるのですが、年休を付与することとなる出勤率8割要件の計算方法を確認させてください。

出勤率は、出勤日数(算定期間の全労働日のうち出勤した日数)を全労働日(労働義務が課せられている日のことで、就業規則等で定めた休日を除いた日数)で割って計算します。
休日出勤した日については、もともと労働義務が課せられていない日の勤務になるため、出勤日数と全労働日には含めず、遅刻や早退があったとしても、その日は出勤しているため出勤日数に含めます。

なるほど!
遅刻や早退があっても、出勤日数に含めるのですね?

はい。そして、この出勤率を計算する際に注意が必要なのは、「全労働日から除外される日」と「出勤したものとして扱う日」が定められていることです。

 
まず、全労働日から除外される日数には、以下のものがあります。
・使用者の責に帰すべき事由によって休業した日
・正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日

3年前に、新型コロナウイルス感染症の影響により、会社の判断で従業員を休業させたことがありました。

このような場合、使用者の責に帰すべき事由によって休業した日に該当するということですね。

そうですね。

次に、出勤したものとして扱う日としては、以下のものがあります。
・業務上の負傷・疾病等により療養のため休業した日
・労働基準法に規定する産前産後休業を取得した日
・育児・介護休業法に基づき育児休業または介護休業した日
・年休を取得した日

育児休業や介護休業を取得した日も出勤したものとして扱われるのですね。
例えば、付与の要件を判断する算定期間にすべて育児休業を取得した従業員がいた場合、全労働日数に出勤したものとして取り扱うため、出勤率は10割になるということですか?

そのとおりです。
また慶弔時に取得できる特別休暇については、会社独自の制度になるため、それぞれの会社で出勤率の計算の際にどのように取り扱うかを決めることになります。
一般的には年休と同様に、出勤したとみなして出勤率を計算することが多いかと思います。

たしかに、特別休暇については、当社でも出勤したとみなして計算していますね。
先ほどの「全労働日から除外される日数」の中に、子の看護休暇や介護休暇がなかったのですが、この取扱いはどのようになるのでしょうか?
取得するケースは稀ですが、確認しておきたいです。

するどい質問ですね!

おっしゃるように、上記の内容にないため、こちらも特別休暇と同じように、それぞれの会社で出勤率の計算の際にどのように取り扱うかを決めることになります。
一般的にはこれらの休暇も、出勤したとみなして出勤率を計算することが多いですが、育児・介護休業規程にどのように取り扱うのか、定めをしておいた方が明確ですね。

わかりました。

そのほか、出勤率を計算した結果、前年4月には8割要件を満たさず、年休が付与されなかった従業員が、今回、8割要件を満たした場合の勤続年数の考え方はどのようになるのでしょうか?

年休の付与は、雇入れからの勤務継続年数で判断するため、8割要件を満たさなかった年も勤続継続年数に含めて付与日数を決めます。

なるほど😊
従業員にとって年休の付与や取得に対する関心は高いことから、誤りのないように管理していきます💻
ありがとうございました✨


POINT

①出勤率は、出勤日数を全労働日で割って計算する。
②出勤率を計算する際には、「全労働日から除外される日」と「出勤したものとして扱う日」に注意する。
③特別休暇、子の看護休暇や介護休暇など、労働基準法で定められていない日は、それぞれの会社で出勤率の計算の際にどのように取り扱うかを定める。