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【 第78回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】「労働条件明示のルール変更」
労働契約締結の際や有期労働契約の更新のタイミングごとに、すべての労働者に対し労働条件を明示する必要があります。
明示事項である「就業場所」と「業務の内容」は、現在は雇入れ直後のものを明示すれば足りるとされていますが、2024年4月以降は、これらに加えて「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要となります。
そこで今回は、その具体的な記載方法や注意点についてとり上げます。
実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!
2024年4月から労働条件明示のルールが変わるということですが、詳しく教えてください。
わかりました。
変更されるのは「就業場所・業務の変更の範囲」、「更新上限に関する事項」、「無期転換に関する事項」などがあります。
この中ですべての労働者に対して明示する必要がある「就業場所・業務の変更の範囲」についてお話ししますね。
「就業場所・業務の変更の範囲」というのはどういうことですか?
「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲です。
現在は、雇入れ直後の「就業場所」や「業務の内容」を労働条件通知書に記載しています。
これに加えて「就業場所・業務の変更の範囲」の明示も必要になるということですね?
その通りです。
今回追加となる「就業場所・業務の変更の範囲」とは、雇入れ後の見込みも含め、その労働契約の期間中における就業場所や従事する業務の範囲のことを指します。
そのため、将来の可能性も含めたうえで、その範囲を明示することになりますが、就業場所・業務がどの程度限定されるかによって記載が異なります。
どのように記載すればいいのでしょうか?
記載例として、
①就業場所・業務に限定がない場合
【就業場所】
(雇入れ直後)浜松営業所 (変更の範囲)会社の定める営業所
【従事すべき業務】
(雇入れ直後)〇〇に関する業務 (変更の範囲)会社の定める業務
②就業場所・業務の一部に限定がある場合
【就業場所】
(雇入れ直後)浜松営業所 (変更の範囲)静岡県内の営業所
【従事すべき業務】
(雇入れ直後)商品企画 (変更の範囲)静岡県内の営業所における〇〇または△△の企画業務
③就業場所や業務の変更が想定されない場合
【就業場所】
(雇入れ直後)浜松営業所 (変更の範囲)浜松営業所
【従事すべき業務】
(雇入れ直後)〇〇企画業務 (変更の範囲)〇〇企画業務
とくに『①就業場所・業務に限定がない場合』については、「会社の定める営業所」「会社の定める業務」と記載するほか、変更の範囲を一覧表として添付することも考えられます。
後になってトラブルとならないように、できる限り就業場所・業務の変更の範囲を明らかにし、労使で共通認識を持つことが求められます。
そうですね。その方がわかりやすいと思います。
ところで変更のタイミングですが、4月1日以降に入社する従業員について、ルールを変更すればいいですか?
変更の範囲の明示が必要となるのは、2024年4月1日以降に締結される労働契約からです。
そのため、2024年4月1日入社の従業員について、2024年3月31日以前に労働契約を締結する場合は改正前のルールが適用され、新たな明示ルールに基づく明示は不要です。
なお、従業員の理解を深めるために、2024年3月31日以前から新たなルールにより対応することが、望ましい取組みとされています。
わかりました😀
早めにどのように記載する必要があるのかを検討して、労働条件通知書のひな形を直しておきたいと思います。
ありがとうございました✨
POINT
①2024年4月以降に締結するすべての労働契約に対して「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要となる。
■参考リンク
厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」
厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」