お役立ち情報・BLOG
【 第36回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】 「最低賃金を確認する際の注意点」
令和4年度はすべての都道府県において、最低賃金が30円から33円引上げられることとなりました。
全国加重平均額31円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となっています。
この答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月中旬までの間に順次発効されます。
村松事務所の『 YouTube 』でも労務対策を紹介しています。
【村松事務所 #87】「最低賃金アップ」求められる労務対策!
実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!
今年度の最低賃金ですが、どの都道府県も30円以上の引上げとなりましたね。
この引上げ額で当社の社員が最低賃金を下回らないか確認しておきたいと思いますので、確認方法を教えていただけますか?
わかりました。
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金とされています。すべての手当を含めることはできず、実際に支払われる賃金から以下の①~⑥の賃金を ” 除外したもの ” が最低賃金の対象になります。
①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
②1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
④所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
⑥精皆勤手当、通勤手当および家族手当
通勤手当はなんとなくイメージがつきますが、精皆勤手当、家族手当も対象にならないのですね。
この3つは勘違いしやすいので注意が必要です。
そして、最低賃金の対象となる賃金を1ヶ月の平均所定労働時間で割り、最低賃金額と比較します。
なるほど!
パートさんの中に、基本給は時間給、役職手当(リーダー手当)は月給で支払っている人がいます。この場合、どのように計算するのでしょうか?
役職手当を時間額に換算した金額と、時間給である基本給を合計した金額を最低賃金額と比較します。
例えば、基本給(時間給)980円、役職手当6,000円、1ヶ月平均所定労働時間が150時間の場合、以下のようになります。
役職手当の時間換算額 6,000円 ÷ 150時間 = 40円
合計の時間換算額 基本給 980円 + 役職手当の時間換算額 40円 = 1,020円
この 1,020円/時間 が最低賃金額を下回っていないかを確認します。
該当しそうな人は計算してみます。
ところで、当社の賃金計算期間は、16日から翌月の15日です。各都道府県で発効日が異なっていると思いますが、発効日が10月1日の場合、賃金計算期間の途中に発効日があります。この場合、来月(10月16日)から賃金を引き上げれば問題ないのでしょうか?
賃金算定期間の途中に発効日がある場合、発効日以降は改定後の最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。そのため発効日が10月1日の場合、10月1日以降について変更が必要です。
そうなると、10月分(9月16日~10月15日分)は、前半と後半に分けて勤怠を集計して金額を算出することになるのですね。
最低賃金を下回っている場合はそのように計算することになりますが、手間の軽減やミスの防止を考えると、9月16日から金額を変更しておくことも考えられますね。
わかりました。確認してみます。
ありがとうございました😊
POINT
①最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金。時間外割増賃金や通勤手当などは含まない!(固定残業代も含めてはいけない!)
②賃金算定期間の途中でも、発効日以降は改定後の最低賃金額以上の賃金を支払う必要がある!
<参考サイト> 厚生労働省「必ずチェック最低賃金!使用者も労働者も」